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【大人ニキビに悩むアラサー女子へ】大人ニキビには正しいケアが重要です

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薬剤師「伊東」
記事の監修 伊東 和子(いとう かずこ)

テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」

35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。

「大人ニキビ」で悩む20代~30代の女性が増えています。
思春期ニキビと違い大人ニキビは、なかなか治りづらいと思っている人が大半です。

思春期ニキビと大人ニキビでは、原因や症状が全く違います。
この記事では、しつこい大人ニキビに悩んでいるあなたに具体的な対処法を紹介いたします。

【大人ニキビの原因】思春期ニキビとどう違うの?

最近、思春期だけでなく、大人になってからもニキビができる人が増えています。
これを大人ニキビと言います。

ニキビの原因は、「毛穴のつまり(角化異常)」「皮脂の過剰分泌」「アクネ菌の増殖」という3つの要素が
関係しています。

まずは、この3要素についてご説明します。

ニキビの原因① 毛穴のつまり(角化異常)

皮膚の一番外側を覆っているものを角質と呼び、外的刺激からお肌を守る役割を持っています。
人の皮膚はこの角質が重なった層から出来ており、それを角質層と呼びます。

私たちの肌は、約1ヵ月サイクルで新しい肌に生まれ変わり、このサイクルを肌の新陳代謝(ターンオーバー)と呼びます。
肌のターンオーバーによって、肌の一番外側にある角質は死んだ細胞となるのですが、不要になった角質がお肌に溜まったままになると、毛穴がつまります。

ニキビの原因② 皮脂の過剰分泌

続いて「皮脂の過剰分泌」についてですが、皮膚表面には小さな分泌腺がたくさんあり、汗や皮脂を分泌しています。
この汗や皮脂が混ざり合ったものが皮脂膜となって、皮膚表面を覆い、皮膚のバリア機能を果たしています。
つまり、皮脂は、人にとって無くてはならない「天然のクリーム」なのです。

皮脂の分泌量は性ホルモン(アンドロゲン)が大きく影響しますので、思春期から成人にかけて増加し、その後は、だんだん減少します。
女性の場合は月経後の黄体期にも増加します。
しかし、皮脂が過剰に分泌されると、皮膚表面における皮脂と水分のバランスが崩れ、皮脂を好む常在菌(アクネ菌)が増殖してニキビができてしまいます。
思春期にニキビができやすいのは、毛穴が小さく、皮脂がつまりやすくアクネ菌の増殖を招くので、皮膚を化膿させるからです。
思春期ニキビができる部位は、皮脂腺が多い部位、顔ではおでこや鼻まわり、頬、身体では背中や胸にできます。
一方、大人ニキビは、思春期のニキビと違って、皮脂腺が少ない部位である、頬、唇のまわりや顎など
どちらかというと乾燥しやすい部位にできるのが特徴です。
大人ニキビは、肌の一番表面にある角層部分が厚くなり、毛穴を塞いで肌の老廃物や皮脂がつまってニ
キビを発生させます。
大人になると、仕事などで睡眠不足やストレス、生活習慣の乱れによって「毛穴のつまり(角化異常)」を
招きやすくなるからです。
つまり、大人ニキビと思春期ニキビは、毛穴がつまる要因がまったく違います。

【なかなか治らない大人ニキビ!大人ニキビの原因を知ると予防ができるかも⁉】

思春期ニキビは、過剰に分泌された皮脂が毛穴につまることが主な原因ですが、大人ニキビの発生原因とは、まったく異なります。
大人ニキビの原因は、次の3つと言われています。
① 肌のターンオーバーが乱れる
睡眠不足や過度なストレスを感じると、肌のターンオーバーのサイクルを乱してしまいます。
肌のターンオーバーの乱れは、定期的な角質の入れ替わりを邪魔しますので、肌のうるおった状態をキープすることができません。
そうなると、当然、古い角質と新しい角質の入れ替えができずに、古い角質が肌に留まって毛穴をつまらせてしまいニキビを生み出すことになります。
② 肌のバリア機能が低下する
肌の表面にある角層には、潤いを蓄えることで、外界からの刺激から肌をまもるバリア機能が働いています。
ところが、強い紫外線や乾燥などでバリア機能が低下すると、肌は自衛手段として角層を厚くしてしまい、ニキビを発生させてしまいます。
また、洗顔時の過剰な摩擦もバリア機能を低下させる原因になります。
③ 生理周期やストレスにより皮脂分泌が増加する
女性特有の大人ニキビは、排卵後から月経まで発生しやすくなります。
この時期は、皮脂分泌が増加しますので、肌が脂っぽくなりニキビや吹き出物ができやすくなります。

【大人ニキビと思春期ニキビは出来るところが違う⁉】

同じところにニキビが繰り返しできるということがありませんか?
思春期ニキビと大人ニキビは、できるところが違います。部位別に原因を紹介いたします。
・おでこ
おでこには、皮脂を分泌する皮脂腺が多く集まっています。
通常、皮脂は皮膚の表面を覆うことで乾燥や菌の増殖から肌を守っていますが、皮脂腺から過剰に皮脂が分泌されると毛穴が詰まってしまい、アクネ菌を増殖させることになり、ニキビができます。
おでこにできるニキビは、ほとんど思春期にきびです。
・鼻
顔の中で、もっとも皮脂の分泌が多いのが鼻です。
鼻は、毛穴が多く、皮脂の分泌量が多く、黒ニキビ(詰まった皮脂の表面が黒く見える)・白ニキビ(皮脂が詰まってできる)を発生させます。
不規則な生活習慣やストレスによって、ホルモンバランスが崩れ、皮脂分泌が過剰になりますので、ただでさえ、皮脂の分泌が多い鼻にニキビができてしまいます。
女性は、化粧の落とし残りでアクネ菌を増殖させ、小鼻にニキビをつくってしまうことがあります。
鼻にできるニキビは、思春期ニキビと大人ニキビのケースがあります。
・口もとやその周辺
口もとやその周辺は、大人ニキビができやすい部位です。
口もとの周辺は、皮膚が薄いため乾燥しやすいところです。
肌が乾燥した状態になると、自衛手段として肌に潤いを与えようと皮脂を分泌する働きが強くなります。
また、乾燥した肌では、ターンオーバーが乱れることがあります。
皮膚のターンオーバーが乱れると、皮膚の表面にある角質が厚くなり、皮脂が詰まりやすい状態になる、
つまりニキビができやすい状態になります。
女性は、口紅を落とす時に、強い力で行うと、摩擦で肌の乾燥を誘引させることがあります。
・顎
顎は、汗腺が少なく、乾燥しやすい部位ですが、皮脂腺は多くあるため、皮膚の水分を補おうと皮脂分
泌が過剰になり、毛穴がつまりやすく、大人ニキビができやすい部位です。
顎ニキビの原因は、ホルモンのバランスの乱れが大きな影響を与えています。
特に女性は、生理前に分泌される黄体ホルモンが多いと皮脂分泌を促すことになり、大人ニキビをでき
やすくしてしまいます。
・頭皮
頭皮には、毛穴が密集していますので、皮脂分泌が多く、さらに汗をかきやすく、髪の毛で覆われてい
ますのでアクネ菌を増殖させやすい環境から大人ニキビができやすい部位だと言えます。
頭皮にできるニキビの原因は、皮膚のターンオーバーの乱れが大きな影響を与えています。
また、シャンプーのすすぎ不足や髪を濡れたままにすることも大人ニキビを悪化させることになります。

【大人ニキビは、予防することが大事!生活習慣を見直しましょう】

大人ニキビ防ぐ、生活習慣のポイントを紹介いたします。
① 睡眠不足の解消
肌は、眠っている間に活発な細胞分裂をしています。
十分に睡眠をとることは、大人ニキビを予防する上で、また、ニキビや吹き出物で荒れた肌を蘇らせ
るための大切なポイントです。
睡眠の取り方ですが、肌にとって大切なことは、入眠して3時間の間に起こる「ノンレム睡眠(深い眠り)」が大切になります。
脳は、眠り始めの3時間で必要な休息のほとんどをとりますので、その間の「ノンレム睡眠(深い眠
り)」がホルモンのバランスをとる上で重要になります。
深く、十分な睡眠をとるには、なるべく、決まった時間に眠れる生活習慣を身に着けて下さい。
例えば、眠る1~2時間前にぬるめの温度で入浴し体温を上げておくことや、眠る前にスマホやテレ
ビの画面を見ないようにすることで十分な睡眠をとることが出来ます。
② ストレスの解消
ホルモンのバランスを取り、大人ニキビができないようにするには、ストレスをためないことが大切で
す。日頃から適度な体操やウォーキングを行うことは、ストレスを溜めない生活を送ることにとても効
果的です。また、仲の良い友達とのおしゃべりや、好きな音楽を聴くなど自分が楽しむことも、上手
にストレスを解消することになります。
③ 大切な栄養と食事
大人ニキビができにくい体質をつくるために食事は大切な要素です。
なるべく間食は取らずに、朝、昼、晩の3回の食事で必要な栄養素を取るように心掛けてください。必要な栄養素とその栄養素を多く含む食品を紹介いたします。
食事から必要な栄養素を取ることが理想です。
「仕事が忙しいから、そんなことは難しい」と考える前に、ちょっとした工夫で必要な栄養素をとること
ができます。
例えば、夜遅くまで営業しているコンビニエンスストアやスーパーで総菜から必要な栄養素をとるこ
とができます。
また、それが難しい時は、ドラッグストアやネットでサプリメントが販売されていますので、代用しても
構いません。
肌の新陳代謝を促進させる→ビタミンB2・B6
ビタミンB2を多く含む食品・・・納豆・卵・レバー・焼き海苔
ビタミンB6を多く含む食品・・・鮭・肉・バナナ・マグロ・カツオ・ニンニク
便秘の改善に役立つ→植物繊維
食物繊維を多く含む食品・・・イモ類・豆類・穀物・野菜・果物・海藻・キノコ類
皮膚のバリア機能を守る、皮膚の角質細胞を形成する→タンパク質
タンパク質を多く含む食品・・・肉類・魚類(特に青魚)・卵・大豆・大豆製品・乳製品・牛乳
肌のターンオーバーを整える、皮膚や粘膜の潤いを維持→ビタミンA
ビタミンAを多く含む食品・・・黄緑色野菜(にんじん・かぼちゃなど)・チーズ・卵・レバー・うなぎ
肌のバリア機能の低下を防ぐ・・・ビタミンB1
ビタミンB1を多く含む食品・・・豚肉・うなぎ・玄米・胚芽米・豆類・焼き海苔・青海苔
コラーゲン合成をサポート、肌のターンオーバーの正常化を図る→ビタミンC
ビタミンCを多く含む食品・・・レモン・パプリカ・ブロッコリー・イチゴ・キウイ・ゴーヤ・緑茶
血液循環促進・肌荒れを防ぐ→ビタミンE
ビタミンEを多く含む食品・・・アーモンド・ピーナッツ・うなぎ・アボカド・パプリカ・かぼちゃ・大根の葉
④ 紫外線を避ける
皮脂は、紫外線を浴びると毛穴がつまりすい状態になります。
また、アクネ菌が分泌するボルフィリンは、紫外線に当たると大量の活性酸素を発生させますので、ニキビを悪化させます。ニキビには、防止や日傘など紫外線対策が必要です。
普通の洗顔料やせっけんで刺激なく落とせる肌にやさしいタイプの日焼け止めを活用ください。

【大人ニキビが出来てしまったら⁉大人ニキビに効果的な症状別スキンケアを教えます】
〇白ニキビ
皮膚のターンオーバーが乱れて、角質が厚くなり毛穴に皮脂が詰まるのが原因です。
毛穴が閉じた状態で皮膚が盛り上がっているニキビの初期状態です。
アクネ菌を増やさないように肌を清潔に保つことが大切です。
角質をやさしく取り除き、詰まった毛穴の風通しを良くするピーリング効果のある洗顔料を使用ください。
〇黒ニキビ
皮脂や古い角質で毛穴がつまり、皮脂の塊ができます。
毛穴が開いて出口のところで皮脂の塊が酸化して黒く見えるのが、黒ニキビです。
基本的なスキンケア方法は、白ニキビと同じで構いません。プラスするスキンケアは、ビタミンCを含
む化粧品で皮脂の酸化を防ぐケアを行ってください。ビタミンCは、皮脂分泌を抑え、毛穴を引き締
める効果がありますので、ニキビ跡にも効果的です。
〇赤ニキビ
ニキビが進行して炎症を起こした状態が赤ニキビです。
アクネ菌が皮脂を栄養素として繁殖した状態です。炎症がひどいと膿を持つようになり、熱を持ったり
痛みがあります。
基本的なスキンケアは、炎症を起こしている状態ですので、極力ファンデーションなどのメイクは控え
てください。ビタミンC誘導体入り化粧水コットンパックを行ってください。
改善が見られない時は、皮膚科クリニックを受診してください。
〇大きい膿ニキビ
赤ニキビが進み、ブドウ球菌が繁殖して膿んでいるのが原因です。
ニキビの中心に黄色い膿が見えて、皮膚が破れやすい状態です。
セルフケアの治療は、難しい状態ですので、皮膚科クリニックを受診して抗生物質の飲み薬や軟膏
が必要になります。

【まとめ】

大人ニキビは、思春期のニキビと対処法がまったく違っていることが理解できたと思います。
① 大人ニキビと思春期ニキビの原因の違い
② 大人ニキビと思春期ニキビのできる場所
③ 大人ニキビのケアは、スキンケアだけでなく生活習慣など総合的に行う

しつこい大人ニキビは、スキンケアだけでなく、生活習慣など総合的にアプローチすることが効果的で
す。

ぜひ、この記事を参考にして、アナタが大人ニキビにリラックスして向き合うことを願っています。

薬剤師「伊東」
記事の監修 伊東 和子(いとう かずこ)

テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」

35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。

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