ARTICLE お役立ちコラム

植物油脂には体に良いものと危険な物が2種類!良い植物油脂の選び方

 / 
植物油脂には体に良いものと危険な物が2種類!良い植物油脂の選び方
薬剤師「伊東」
記事の監修 伊東 和子(いとう かずこ)

テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」

35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。

植物油脂は危険と言われることがあります。
かと思えば、メディアによっては体に良いと謳われていることもあります。

その真相は何なのでしょうか?

どんなものでも商品の質や使い方、使用する量などによって、体にいいものにもなれば悪いものにもなります。
実際に、植物油脂の中には身体に影響を与えるものもあるので、正しい選び方を知っておくことが良いでしょう。

ここでは植物油脂の何が危険と言われているか?をまとめ、安全な選び方や使用するポイントを紹介します。

植物油脂って何?植物油脂の定義を再確認しよう

日々の料理に使うことが多い植物油脂ですが、植物油脂と呼ぶ定義についてご存じの方は意外に少ないではないのではないでしょうか。
再認識するという意味でも一度、植物油脂の定義から再確認してみましょう。

植物油脂と呼ぶ定義を再確認

植物油脂の定義

植物油脂は文字通り、植物から抽出して作った油で、簡単に言うと「植物から採取した油脂の総称」です。
植物油脂の代表的な存在として「サラダ油」がありますが、サラダ油以外にも「もやし油」や「パーム油」「菜種油」「コーン油」「米油」があります。
香ばしい香りが特徴的な「ごま油」も植物油脂の一つです。

植物油脂は「植物油」と「植物脂」に分けられ、それぞれ液体のものを油、固形のものを脂と言います。
また、二種類以上の食用植物油脂を調合した「食用調合油」食用植物油脂に香辛料や香料、調味料などを加えた「香味食用油」などもあります。
後者はラー油やねぎ油などで私たちの食卓を賑わせてくれていますね。

では肝心の植物油脂の定義とはどういったものなのでしょうか?
植物油脂を販売する場合、日本では食用植物油脂品質表示基準の定義に合っている必要があります。

この品質表示基準はそれぞれ植物油脂の油の種類ごとに定義が分かれるのですが、主に「食用に適した処理をしたもの」と記載されています。
パーム油や菜種油にも記載がされていますが、この品質表示基準や定義は農林水産省が定めたものです。

動物油脂は植物油脂とどう違う?

動物油脂

では反対に動物油脂とはどういったものなのでしょうか?
動物油脂は動物の脂肪体を抽出して作る油脂になります。

ラードなどがこの動物油脂にあたりますが、料理に使うことによって脂の旨味を堪能できるのが魅力です。
健康を意識する場合は動物油脂を全くゼロにするのではなく、適度にバランス良く動物油脂も摂取するのがのぞましいでしょう。

植物油脂が危険と言われている理由は?健康リスクについて

では、どんな植物油脂が危険なのか詳しく見ていきましょう。
植物油脂が体に悪いという主張はほとんどが「植物油を原料とする加工品」に言及していることがほとんどです。
ここでの加工品はマーガリン・ショートニング・ファストスプレッドなどが挙げられます。

そしてこれらの植物油脂に健康リスクがあると言われる原因は2つあります。
「トランス脂肪酸」「遺伝子組み換え原料」です。

植物油脂の健康リスク① トランス脂肪酸とは

トランス脂肪酸

マーガリンやショートニングなどの植物油加工製品に関するネガティブ要素として第一に挙げられるのが、その製造過程で「トランス脂肪酸」が発生することです。

トランス脂肪酸とは「不飽和脂肪酸」の一種で、日常的に摂取しすぎると、心臓病のリスクが高まるという研究結果があります。
そのため、「マーガリンなどの植物油加工品は体に悪い」と言われるようになりました。

マーガリンやショートニングなどの原料である植物油は、常温では液体状です。
それを、パンに塗ったりお菓子に練り込んだりしやすくするためには、固形にする必要があります。

そこで、油に水素を添加することで物性を変え、固形化または半固形化させるのですが、その過程でトランス脂肪酸が発生します。

このトランス脂肪酸について、現在日本では特に規制がありませんが、海外ではすでに摂取量や濃度などの数値を定めて制限する例があります。
このように実際に規制されている例があることも、「植物油加工品は体に悪い」という主張を後押ししています。

ただ、最近ではこの主張に配慮して、トランス脂肪酸の発生をできるだけ抑えた製品も作られるようになってきました。
マーガリンなどのパッケージに、「部分水素添加油脂不使用」「トランス脂肪酸低減」といった表示があるものがそれです。

購入する際にはチェックしてみるといいでしょう。

植物油脂の健康リスク② 遺伝子組み換え原料の使用の疑い

遺伝子組み換え原料

次に注目したいのは、植物油加工製品には、「遺伝子組み換え原料」が使われているのではないかという不安です。
というのも、実際にそういう例が過去にあったからです。

2016年、遺伝子組み換え技術で作られた添加物が使用された植物油脂が輸入され、厚生労働省の定める安全性審査を受けないまま、マーガリンやドレッシングなどに加工されるということがありました。

もちろん基本的には、遺伝子組み換え作物やそれを使用した加工品には安全性審査が行われていますし、安全性が確認されたものについても遺伝子組み換えの表示が法的に義務付けられています。

遺伝子組み換えは作物の品種改良のために行われますが、遺伝子組み換えが行われたことによってアレルギーの原因になったり、在来植物などの環境を脅かす可能性が指摘されています。

全ての遺伝子組み換え技術に当てはまるわけではありませんが、そのようなことを懸念して遺伝子組み換えが危険だと指摘する人が出てきたのです。

この「トランス脂肪酸」と「遺伝子組み換え原料」が危険と言われる2つの主な要因と言えます。

避けた方が良い植物油脂の見分け方!購入する際はここをチェック

植物油脂の選び方

では具体的にはどのような植物油脂を避けたらよいのでしょうか?
避けた方が良い植物油脂の見分け方について見ていきましょう。

①原材料に「食用精製加工油脂」「ショートニング」などの表示があるものは避ける

先ほど取り上げた通り心臓病のリスクが上がるトランス脂肪酸が多いのは、常温で液体状の「植物油」ではなく、常温でも個体を保つように加工された「植物油脂」です。

原材料表示に「食用精製加工油脂」「マーガリン」「ショートニング」などの表示があるものを避ければ、トランス脂肪酸の摂取を抑えられます。

②「部分水素添加油脂不使用」「遺伝子組み換え原料不使用」の製品を選ぶ

「植物油脂は体に悪い」という主張があることを踏まえて、各食品メーカーも消費者の不安をなくす取り組みをしています。

具体的には、マーガリンなどの製造過程でトランス脂肪酸の発生を抑えるよう、原因となる「部分水素添加油脂」を使用しない。遺伝子組み換え原料を使用しない。などです。

その場合は商品に「部分水素添加油脂不使用」「遺伝子組み換え原料不使用」といった表示がありますので、購入の際には表示を確認し、そういった製品を選ぶとより安心でしょう。

ここまで見てきた通り、油には自然由来のものと、安価に大量生産を可能にするために化学的に手が入ったものに分かれます。

油の製法の一つに化学物質を使って油を抽出する「溶剤抽出法」がありますが、これは化学の力を借りて酸化の原因となる「不純物」などを徹底的に取り除き、さらに200度以上の高温処理を複数回施すことによって、原料作物に含まれる栄養の損失、そして有害物質の発生につながります。
サラダ油などがこの製法で製品化されている例です。

安全な植物油脂はあるの?安心な油の選び方

安心な油の選び方

ではそもそも安全な植物油脂はあるのでしょうか?

ここまで人工的に製造された油脂に注目して説明しましたが、前項で少し触れた自然由来の油脂について見ていきましょう。
私たちが積極的に摂りたい油は自然由来で圧搾法を用いて製品化されたのものです。

安全な植物油脂① 圧搾法で出来たもの

圧搾法とは昔ながらの機械を使って、原料に圧力をかけて絞り出す方法です。
圧搾法は余計な化学物質を使用せずに純粋に圧力をかけて油を搾りだすので手間や時間がかかるうえ、少量しか油を抽出できません。

余計な脱色・脱臭などの精製をしないため、油本来の風味や栄養分がそのまま残され、自然の味や香りを楽めます。
化学物質を使わずに圧搾法で油を摂りだすと、精製では高温処理をする必要がなく、上澄み液を濾過するだけなのでとてもシンプルです。
また、高温処理をしていないのでカロチンやビタミンなどの栄養素もしっかりと残ります。

安全な植物油脂② 自然食品から製品化されたもの

一番良いのは圧搾法で製品化された油を摂ることですが、そもそも高価で流通量が少ないものですので、手に入れる事が難しい方も居るでしょう。

その場合はオリーブ油・ごま油・米ぬか油など自然食品から製品化された油やオーガニックオイルを選択してください。
オーガニックオイルは、無農薬や化学肥料を使わずに作られた原料から生産されています。原料や成分もわかりやすいのでオススメです。

安全な植物油脂③ オメガ3・オメガ6が含まれるもの

また、油を選ぶ際にオメガ3・オメガ6に注目しても良いでしょう。
聞きなれない言葉ですがこれら2つの成分は油を構成する脂肪酸の中でも人が自分の体内で作ることができず、食品から摂取する必要がある必須脂肪酸と呼ばれる成分です。

オメガ3系脂肪酸を多く含む油脂:えごま
オメガ6系脂肪酸を多く含む油脂:コーン油、大豆油、綿実油など

これらの食品に注目して植物油脂を選ぶことも健康維持のコツと言えます。

色々なところで使用される植物油脂との付き合い方

植物油脂との付き合い方

ここまで植物油脂の定義や植物油脂が危険と言われる理由を見てきましたが、今後どのように植物油脂と向き合っていけばよいのでしょうか?
日常的に使う油なだけに知らない間にあらゆるものに使用されていることも考えられます。

化学製法のサラダ油が含まれているもの

市販の菓子パン・スナック菓子・インスタントラーメン・ケーキなど様々な加工食品

植物油と添加物でできた加工食品

喫茶店でコーヒーを注文すれば出てくるポーションタイプのコーヒーフレッシュ

これらは安価ですぐに腐ることもなく、長期保存も可能になっています。
また、ホイップクリームも同様です。

箱の原材料表示にはしっかりと「植物油脂」と書かれています。

また、最近はやりの時短調理を可能にする便利な加工食品、多忙な現代人にとって頼もしい存在です。
残業や忙しい時、お惣菜やテイクアウト用お弁当、温めるだけで食べられる加工済食品を活用される方も多いと思います。
ですが、時間が経っても美味しい状態が求められる加工品に使われるのは比較的安価な植物油脂。
今まで取り上げてきた質の悪い油が多いのです。

では植物油脂とはどのように向き合えばよいのでしょうか?
具体的に以下の行動を挙げましたので、取り組みやすいことからトライしてみてください!

①家庭では自然由来のものを選び、できれば圧搾法で精製された油を使う

一番食事をする頻度が多いのはやはりお家ではないでしょうか?日常的に使う油を見直すことはあなたの健康増進にとても役立ちます。
オーガニック食品店に行くと自然由来の油が取り扱われています。

②食品を購入する際に食品表示を確認する

植物油脂は様々な加工品に含まれています。どんな油が使われているのか裏に書かれている食品表示を確認することで質の悪い植物油脂を避けることができます。

製造:低温圧搾法、エキストラバージン
原料:遺伝子組換えでないもの
容器:瓶(遮光)に入っているもの、紙パック

このような項目に注目して油を購入してみてください。

③外食をする際には信用できる店を選ぶ

外食は安価な油が使われていることが多々あります。
そのリスクを少しでも下げるために、オーガニック食品を使う外食店を選ぶのも一つでしょう。

紹介したこの3点に注目し、日常生活を送ることで良くない油を避け、上質な植物油脂を摂取する機会を増やすことが出来ます。

最後に【正しい知識を付けて植物油脂を選び、健康に過ごそう!】

今回は植物油脂に注目してその種類や危険性について紹介しました。
紹介した栄養素や、その栄養素を摂取するために日常的に食べ物や飲み物を考えていく方法について参考になれば幸いです。

  • 植物油脂とは植物を原料とする油の総称である
  • 危険と言われる油は植物油脂を原料として化学製法で精製した加工油である
  • 悪い植物油脂と言われる要因には「トランス脂肪酸」と「遺伝子組み換え原料」がある
  • 悪い油には心臓病を起こすリスクを高めたりアレルギーを引き起こす可能性がある
  • 自然由来の原料を圧搾法で製品化した油を摂取することが望ましい

薬剤師「伊東」
記事の監修 伊東 和子(いとう かずこ)

テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」

35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。

よく読まれている記事

  1. 【鼻水・鼻づまりを解消する方法】鼻水・鼻づまりに効くツボも知ろう!
    【鼻水・鼻づまりを解消する方法】鼻水・鼻づまりに効くツボも知ろう!
  2. 【便秘の時こそ下剤成分ゼロの体にやさしいお茶を】便秘に良いお茶の選び方
    【便秘の時こそ下剤成分ゼロの体にやさしいお茶を】便秘に良いお茶の選び方
  3. 季節の変わり目に疲労がたまる?季節の変わり目は寒暖差に負けない体調が大切!
    季節の変わり目に疲労がたまる?季節の変わり目は寒暖差に負けない体調が大切!
  4. ゲップが多いなら注意!ゲップが多い人の「原因」と「考えられる病気」
    ゲップが多いなら注意!ゲップが多い人の「原因」と「考えられる病気」
  5. 【生理中に万能な食べ物10選】生理痛やイライラ、むくみにおすすめの「食べ物」
    【生理中に万能な食べ物10選】生理痛やイライラ、むくみにおすすめの「食べ物」