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にんにくの栄養、効能は?にんにくに秘められたパワーとそれを生かす調理法

にんにくの栄養、効能は?にんにくに秘められたパワーとそれを生かす調理法

皆さんは、「にんにく」といわれて何を想像しますか?

においがきつい?
体に良い?
元気が出る?
吸血鬼はにんにくが苦手?

一般的にぱっと思いつくのはこの辺りではないでしょうか。

にんにくには、さまざまな効果があるといわれています。
今回は、にんにくの歴史からレシピまで幅広くお話ししていきます。

【にんにくの歴史】にんにくはいつ頃から食べられている?

【にんにくの歴史】にんにくはいつ頃から食べられている?

にんにくの歴史についてお話しする前に、にんにくとは一体何なのかについてから話していきましょう。

Wikipediaによると、にんにくとはヒガンバナ科ネギ属の多年草とのことです。
漢方薬の生薬名は大蒜(たいさん)で、その語源は困難を耐え忍ぶという意味の仏教用語の「忍辱」とされています。

にんにくの原産地は中央アジアの中国と地中海を結ぶあたりではないかと考えられています。
そこから中国へと伝わり、そして朝鮮から日本へ伝わったとされています。
しかし、その歴史は古代メソポタミアまでさかのぼるのではないかともいわれています。

古代エジプト人、ギリシア人もにんにくを好んで食べていたようです。
また、にんにくには61の薬効があることがローマ人の歴史家大プリニウスの「博物誌」の中でも書かれています。
そして、「医学の父」と称されるヒポクラテスもまたにんにくには医学的にも有効だとしていたようです。
彼は、にんにくを利尿薬として処方していました。
さらには、にんにくには呼吸を楽にし、傷を治す効果があると教えていたようです。

そして、にんにくは古代より悪を追い払う魔法の力があるとされてきました。
そのため、吸血鬼を追い払う道具としてにんにくは使われてきました。
さまざまな所以があり、現在も解明されていません。

南、中央アジアでは、にんにくはてんかんから寄生虫やリウマチまで、あらゆる病気を治すとされていました。
日本には8世紀ごろにはにんにくは伝わっていたようです。
「古事記」「日本書紀」「源氏物語」にもすでににんにくの記載があったとのことです。

にんにくの歴史は長いことがわかっていただけたかと思います。

【にんにくのもつ栄養】にんにくに含まれている成分とは?

【にんにくのもつ栄養】にんにくに含まれている成分とは?

次は、にんにくのもつ栄養についてお話ししていきます。
にんにくの100gあたりのエネルギーは136kcalです。
これは他の野菜に比べるとやや高い数値といえます。

そして、見た目からは想像できませんが、にんにくは6割以上が水分です。
約3割が炭水化物で、残りがたんぱく質、脂質、ビタミン、無機質(ナトリウムやカリウム、マグネシウムなど)で構成されています。

にんにくの栄養価についておおまかに理解していただけたかと思うので、次は成分についてです。

アリシン:
にんにく特有のにおいや辛み成分のもとになっている物質です。
硫化アリルとも呼ばれています。
無味無臭のアミノ酸であるアリインという細胞が、にんにくをすりおろしたり切ったりすることで壊れ、アリイナーゼという酵素が働いて、アリシンという物質になります。

ちなみに、アリシンが含まれている他の食べ物は、たまねぎ、にら、リーキ、ネギ、らっきょうなどがあります。

アホエン:
アリシンが100℃以下で加熱されて生じる特殊な物質です。
アホエンにはにんにく特有のにおいもありません。

アリチアミン:
アリシンとビタミンB1が結合することでできる物質です。
ビタミンB1は水溶性のビタミンですが、アリシンと結合すると脂溶性になり、よりエネルギーを高めてくれます。

ジアルジスルフィド(二硫化アリル):
細胞が傷つけられ放出されるアリシンが分解するときに生じます。
にんにくの油の主成分になっており、黄色の液体で強いにんにく臭を持っています。
にんにくによる食物アレルギーを引き起こすアレルゲンでもあります。
アレルギーを起こす人は、ジアルジスルフィドを分解する消化酵素が他の人と比べて少ないことが考えられます。

このジアルジスルフィドは加熱しても構造が変わることがないため、火を通しているのにもかかわらずアレルギー反応がでるという人は、ジアルジスルフィドに対するアレルギーかもしれません。

スコルジニン:
にんにくに含まれる物質と糖分がくっついてできた物質です。
アホエン同様に無臭です。

ゲルマニウム:
マグネシウムなどと同じミネラルの一種です。

にんにくの成分は全てが解明されたわけではありません。
まだ明らかにされていない成分もあります。

にんにくの1日の摂取目安量は、10gです。
これは、2片程度に値します。

にんにくを一度に食べすぎると、腹痛や下痢、便秘などのお腹の症状や皮膚炎、口内炎などの皮膚症状を招く恐れがあります。
食べすぎには注意しましょう。

【にんにくの効能】にんにくはどう体に良い?

【にんにくの効能】にんにくはどう体に良い?

では、にんにくはどう体によいのでしょうか。

先ほどでてきたアリシンは強力な殺菌・抗菌作用、疲労回復効果があります。
また、ビタミンB1の吸収を助ける働きも持っています。

ビタミンB1は、糖質からエネルギーを作り出したり、皮膚や粘膜を正常に保つ働きをする大切なビタミンです。
これが不足すると、糖質がうまくエネルギーにならないため疲労などの原因になります。
さらに進行すると明治や大正時代によく見られた脚気という心臓と神経の病気や脳の中枢神経の病気であるウェルニッケ・コルサコフ脳症になってしまいます。

アホエンは、強力な抗酸化作用を持つ他に血小板の凝集を抑制することで血液をサラサラにし、血栓を予防してくれます。
また、脳を活性化してくれるので記憶力のアップや物忘れなどを予防する効果があるといわれています。

スコルジニンにもアリシン同様にビタミンB1の吸収を助け、エネルギー代謝をスムーズにします。
そうすることで疲労回復へと繋がります。

アリチアミンには、脳や手足の神経を正常に働かせて神経を安定させるため、抗ストレス作用もあるといわれています。

他にもにんにくは、がん予防に効果があるといわれています。
がんによる死亡率が増加して深刻になった1990年代のアメリカでは、国立癌研究所(NCI)によってがん予防に効果のあるとされる約40種類の食品を発表しました。
それをデザイナーフーズ・プロジェクトといいます。

ピラミッドは上段・中段・下段の3段階に分類され、上段にあればあるほどがんの予防効果の高い食品とされていました。
その中でのにんにくの位置づけは、最上段に入っています。
にんにくは、それだけ抗がん作用が期待されている優秀な食品といえます。

【にんにくの調理法】つぶす?すりおろす?

【にんにくの調理法】つぶす?すりおろす?

にんにくの調理法による味やにおいの違いはあるのでしょうか。

<生の場合>

先ほどもお話ししたように、すりおろしたり、潰したり、刻むことでにんにくの細胞を壊し、それによってアリシンが発生します。
細胞を壊せば壊すほど、にんにく特有のにおいや風味が強くなります。
そのため、それらをより感じたいというのであれば、これらの調理方がおすすめです。

では、すりおろす、潰す、刻むではそれぞれどう違うのでしょうか。

細胞を最も細かく壊せるのは、すりおろす方法です。
言い換えれば、一番においや風味を感じる方法といえます。

すりおろしほどではないが、刻む方法でも細胞は壊されます。
ドレッシングなどに使われることもあります。

潰す方法もすりおろすほどではないが、細胞は壊れます。
しかし、包丁の背で潰した場合は細胞破壊の程度は低いといえます。

<加熱する場合>

にんにくを加熱するとアホエンが発生します。
このアホエンという成分はにんにく特有なにおいがないことで知られています。

そのため、にんにくを傷つけずに加熱すると、強いにおいを出さないにんにくを食べられます。

もう腐らせない!【にんにくの保存方法】

もう腐らせない!【にんにくの保存方法】

日本は湿度が高いため、気づいたらにんにくにカビが生えていた、芽が出ていたということはありませんか?
もちろん芽が出てしまったにんにくを食べても問題はありません。
しかし、芽の出ていないにんにくと比べると、味が落ちてしまったり香りが弱くなります。
どうせ食べるなら美味しく食べたいですよね。

そこで、ここではにんにくはどのように保存するのが良いかということについて話していきます。

まず購入したときにビニールの袋に入っている場合は、袋から出してください。
そして、風通しのよい涼しいところで保管してください。
ネットなどの網に入れて、日の当たらないところにつるして保管すると良いでしょう。

常温(15~25℃)ですと1ヵ月程度保存できます。

涼しい季節はこの方法で問題はありませんが、夏は大変暑いためこの時期は冷蔵保存がおすすめです。
にんにくを皮付きのまま1片ずつに分けて保存袋に入れ、冷蔵庫で保管しましょう。
もし時間的に余裕があるならば、にんにくの全ての薄皮を剥き、1片ずつ新聞紙に包んでから保存袋に入れてください。
にんにくは湿気に弱く、また特有のにおいがあります。
こうすることで、カビの発生を遅らせ、また冷蔵庫にある他の食材においが移ることを防げます。

では、にんにくを切ったり刻んだりした場合はどう保存すれば良いのでしょうか。

カットしたにんにくをラップに包んで、保存袋に入れ平らにして冷蔵庫で保管しましょう。
冷蔵庫で1~2週間ほど保存が可能です。
カットしない場合に比べて味は落ちますが、料理の際にすぐに使えるので大変便利です。

用途に合わせて保存しましょう。

【にんにくレシピ】にんにくを使った料理

【にんにくレシピ】にんにくを使った料理

では次に、にんにくを使った簡単レシピを紹介していきます。

にんにくのアヒージョ

  1. まずにんにくの皮を剥きます。
  2. スキレットに、にんにくと塩を少々入れます。
  3. オリーブオイルをにんにくがかぶるぐらいいれ、にんにくがきつね色になるまで煮込みます。
  4. にんにくに竹串などが刺さるようになったら、粗挽き胡椒、鷹の爪を入れて完成です。

スキレットがなくても小さい鍋があれば、アヒージョは作れます。

にんにくのホイル焼き

  1. まずにんにくの皮を剥きます。
  2. 耐熱容器に、にんにくを入れて軽くラップをし、600wのレンジで約1分加熱します。
  3. アルミホイルでカップを作り、その中にレンジで熱したにんにくを入れて、オリーブオイルまたは塩とごま油を入れます。
  4. しっかりとカップを作らないと、液体がこぼれて大変なことになるので気を付けてください。
  5. そして、オーブントースターで約10分加熱します。
  6. こんがりしていないようであれば、追加で5分程度加熱しましょう。

ほうれん草とベーコンのガーリックソテー

  1. ほうれん草1/2束を塩少々入れた熱湯で軽く茹でます。
  2. その後、冷水にとって水気をとって、約4~5cmの長さに切ります。
  3. ベーコンは約1cm幅に切ります。
  4. にんにくをスライスし火にかけ、焦げない程度に弱火で焼きます。
  5. にんにくが良い色になったらベーコンを入れ、こんがりするまで炒めます。
  6. 次にほうれん草を入れ、さっと炒め、塩、胡椒で少々味を調節して完成です。

ここで紹介したレシピはごく一部で、にんにくはさまざまな料理に使えます。

にんにくの栄養、効能は?にんにくに秘められたパワーとそれを生かす調理法

今回は、にんにくの栄養と効能から調理、保存方法などについてお話ししました。

にんにくがいかに優れているかについて深く知っていただけたことだろうと思います。

  • にんにくの歴史は長い
  • にんにくには、アリシン、アホエン、アリチアミン、スコルジニンなど多くの成分が含まれている。
  • にんにくには、抗菌作用、疲労回復、血行促進、がん予防などのさまざまな効能がある。
  • 独特なにんにくのにおいを楽しみたいのであれば、すりおろしたり、潰したり、刻む。
  • にんにくは、風通しのよい涼しいところ、または冷蔵庫で保管する。
  • にんにく料理の定番は、にんにくのアヒージョ、ホイル焼き、ほうれん草のガーリックソテーである。

1日の摂取目安量を守りながら、美味しくいただきましょう。
今夜はにんにく料理にしますか?

参考文献

にんたまジャム健康レシピ186 村上祥子
タマネギとニンニクの歴史 マーサ・ジェイ
衛生 薬学ゼミナール
食品詳細(https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06223_7)
にんにくのホイル焼き(https://delishkitchen.tv/recipes/208521779935707494)
ほうれん草のガーリックソテー(https://www.orangepage.net/recipes/detail_122708)
Wikipedia
にんにくの薬効(http://siva.cc.hirosaki-u.ac.jp/rika/kagaku/kitahara/ninnniku.htm)

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