ARTICLE お役立ちコラム

【免疫力を腸活で高める方法 】

薬剤師「伊東」
記事の監修 伊東 和子(いとう かずこ)

テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」

35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。

ヒトの身体には、細菌やウイルスなどの病原体から身体を守るシステムが備わっています。
それを免疫系とよんでいます。
免疫系が、身体にとって有害な細菌やウイルス、寄生虫などに気づいて、攻撃する働きを免疫力と言いますが、近年の研究で、免疫力の発揮には腸がとても関係していることが明らかになってきました。
そこで今回は、免疫力と腸の関係性について、腸の働きを高めると免疫力が上がるメカニズムも含めてわかりやすく解説します。

<感染症になりやすいのは何故?免疫力との関係 >
【免疫力とは】
免疫力とは、身体の中に入ってきた細菌やウイルス、寄生虫などの病原体を攻撃して排除する働きのことです。
なお病原体ではありませんが、がん細胞のような自分自身の身体から発生した異常な細胞も免疫力が作用して、排除しようとします。
免疫力が低下すると、病原体を攻撃できなくなるので、感染症にかかりやすくなるリスクが高まります。
言い方を変えれば、免疫力を高く保つことは、健康でいるためにとても大切なことと言えますね。

【免疫の仕組み】
白血球とよばれる血液中の成分があります。
白血球は、身体の中に入り込んできた細菌やウイルスなどの病原菌を攻撃して排除する役割を担っており、免疫力の基幹ともいえる細胞です。
白血球と一言で言っても、単球や顆粒球、リンパ球などいろいろな種類があります。
まず最初に対応するのが、単球という免疫細胞です。
単球は、例えていうなら偵察部隊のようなものです。
病原体が入ってきたことを、他の免疫細胞たちに知らせる役割を担っています。
単球からの情報で出動するのが、顆粒球とリンパ球(NK細胞・B細胞・T細胞)です。
顆粒球は、サイズの大きな病原体も攻撃できる強さが特徴ですが、あまり素早く対応できません。
NK細胞は、顆粒球ほど強くないですが、侵入してきた病原体に即応できるのが特徴です。
顆粒球やNK細胞は、敵の侵入に対して初動を行う部隊です。
この次に出動してくるのが、B細胞とT細胞です。
どちらも、病原体に対して強い攻撃力を持っています。
こうした様々な免疫細胞たちが、自分自身の役割をきちんと果たし、身体を守っているのです。

<免疫力と腸の関係 >
【腸は身体の中で最も大きな免疫系】
たとえば、ケガをしたら傷ができます。
傷口からは、いろいろな病原体が侵入しようとしますが、傷口以上にたくさんの病原体が入ってくるルートが身体にはあります。
それは、口です。
食べ物とともに口から入った病原体は、食道・胃を通して腸に到達します。
腸はとても長いので、病原体にさらされる時間も長くなります。
そこで、腸にはより強力な免疫力が求められ、身体の免疫系の50〜70%が集中しているといわれています。
これを腸管免疫とよんでいます。
腸は、食べ物から栄養を取り込む消化器官という役割だけでなく、免疫系としての側面も持っているのです。

【腸管免疫の仕組み】
傷んだ食べ物を食べて、嘔吐や下痢をした経験ありませんか?
実は、これも腸管免疫の働きの一種です。
腸管免疫の仕組みをみてみましょう。
腸は小腸と大腸に分けられますが、腸管免疫で特に重要な働きをしているのが、小腸です。
小腸の壁には、無数のヒダヒダがあります。
ヒダヒダがあるおかげで、表面積が広がり、食べ物を効率的に消化吸収できるようになっています。
このヒダヒダの間に、パイエル板という凹んだ部分があります。
パイエル板は、腸に運ばれてきた細菌やウイルスなどの病原体を感知する働きを持っています。
パイエル板で、侵入してきた病原体を免疫系が認識し、排除すべき敵の特徴を学びとります。
そして、それに対応した免疫力を生み出しています。
小腸で作られた免疫力は、血液の流れにのって、全身に運ばれ、身体のいろいろな部分で病原体を見つけ攻撃することで、身体を守っています。

【腸内環境が悪化したら】
腸の中には、腸内細菌という細菌がいますが、腸内細菌は善玉菌と悪玉菌に分けられます。
善玉菌は、腸を健康にする良い働きをする細菌で、乳酸菌やビフィズス菌がこれにあたります。
善玉菌は、腸管免疫をよくする働きをもっていることがわかっています。
一方、悪玉菌は、毒性のあるアンモニアや硫化水素を産み出し、腸内環境を悪くする細菌です。
善玉菌は、腸内環境を弱酸性にして、悪玉菌が増えすぎないように抑えています。
ところが腸内環境は、ストレスや脂っこい食事などにより悪化します。
腸内環境が悪化すると、善玉菌が減り、悪玉菌が増えます。
悪玉菌が増えると、腸管免疫の働きが低下し、身体の免疫力そのものも低下することになります。

<腸活で免疫力を上げる方法 >
腸活とは、腸内環境を整えることで、身体を健康にする活動のことです。
腸活の方法は、食生活や運動習慣などいろいろです。
【食事を見直す】
腸内環境の良し悪しには、食べ物の影響がとても大きいです。
腸内環境を悪化させる悪玉菌は、名前からするといかにも悪そうな細菌のように思われてしまいますが、肉類などに含まれるタンパク質を消化吸収するのに欠かせません。
ですから、肉類をたくさん食べる欧米型の食生活を続けていると、タンパク質を好む悪玉菌がどんどん増えていき、善玉菌が減ってしまいます。
そうです、善玉菌が好む食べ物を食べることが、善玉菌を増やして、腸内環境をよくする秘訣なのです。
そこでおすすめしたいのが、発酵食品や食物繊維の豊富な食品です。
発酵食品には、乳酸菌やビフィズス菌が含まれています。
これらは、善玉菌の餌になります。
ヨーグルト・納豆・お味噌・チーズなど発酵食品を食べましょう。
食物繊維もやはり善玉菌の好む餌です。
善玉菌がたくさん含まれている食品としては、玄米・お豆・お芋・ゴボウ、そしてバナナや山芋・海藻・キャベツなどが挙げられます。
そして、悪玉菌を減らすために、お肉のような脂肪やタンパク質の多い食べ物は減らすのもいいでしょう。
このようにして、食生活を見直し、腸内環境を整えましょう。

【飲み物による腸活】
腸内環境の改善に効果のある飲み物が発売されています。
一例を挙げると、サントリーの『おいしい腸活 流々茶』、カゴメの『ラブレα』などです。
その他、ビフィズス菌がたくさん入っているグリコの『ビフィックス』もおすすめですし、どれがいいか迷ってしまうという方なら、乳酸菌がたくさん入っているカルピスもいいですね。
飲むだけですから、お料理の手間もかかりませんし、誰でも手軽で簡単に挑戦できることでしょう。

【運動習慣を身につける】
腸内環境を整えるもう一つの方法が、運動です。
身体を動かさなくなると、便秘になりやすいという話をお聞きになったことありませんか?
腸に溜まった便をうんちとして身体の外に出すためには、お腹の筋肉の働きがとても重要です。
うんちが出ない、つまり便秘になると古い便が腸の中に残ったままになり、腸の健康に悪影響を及ぼします。
適度な運動は、お腹の筋肉も刺激しますので、便の通りを良くする効果があります。
特におすすめなのが、ウォーキングやスイミングなどの下半身を使う運動です。
ウォーキングやスイミングなんて忙しくてしている暇がないという方は、たとえばエレベーターをやめて階段で上り下りする、バスをいつものバス停より手前で降りて歩く、バスの代わりに自転車に乗るなど日常生活で『歩く』機会を増やしてみるといいでしょう。
こうした運動を習慣づけることで、お腹の筋肉を適度に刺激し、腸内環境を整えましょう。

【生活習慣の見直し】
食生活と運動習慣の次は、生活習慣です。
腸の1日のリズムを適度にリセットして整えるのは、腸内環境を良好に保つ上でもとても大切です。
腸のリズムをリセットするのは、朝が一番です。
そこで、朝起きた時に、お水やお白湯を飲むことをおすすめします。
こうすることで、腸のリズムがリセットされます。
そして、朝食を食べることを習慣づけてください。
大腸の適度に刺激され、便の流れが良くなります。
また、睡眠不足は腸の働きに悪い影響を与えます。
十分な睡眠時間を確保するように、日々の生活習慣も見直してください。
これらは、まさに『腸そのものを整えるための生活習慣』といっても過言ではないでしょう。

<その他、免疫を上げるポイント >
【体温を高くする】
体温と免疫力も密接な関係を持っています。
免疫系にとって基準となる体温は、36.5℃といわれています。
そして、免疫力は体温の低下とともに下がっていくことがわかっています。
冬場寒くなると、身体を動かしにくくなるのと同じで、体温が下がると免疫力も低下します。
ところが、反対に、体温が1℃上がると免疫力は数倍アップします。
つまり、体温を高く保っていることが、免疫力にとってとても大切なのです。
体温を高く保つためには、筋肉を鍛えることが効果的です。
ウォーキングやスイミングなど、日常生活に運動を取り入れて身体の筋肉を鍛えることで体温を高く保ち、免疫力を高めましょう。

【メリハリのある生活を送る】
日々の生活にメリハリをつけるのも免疫力を上げるのに効果的です。
メリハリとは、仕事をしている時間や家事をしている時間と、リラックスしている時間、趣味や運動に打ち込んでいる時間をはっきりと区別するということです。
ヒトは、交感神経と副交感神経という神経系によって活動が調整されています。
交感神経は、何かしらの活動に取り組んでいるときやストレスを感じているときに働く神経系です。
一方、副交感神経は、休んでいるとき、リラックスしているときに働く神経系です。
ですから、両者は同時に働かないようになっています。
一日中、ストレスを感じ続けていると交感神経ばかりが働き、身体が休まりません。
こうした状態が続くと、免疫力が低下することがわかっています。
やはり休む時にはしっかり身体を休めることが、免疫力アップに大切です。
1日のうちに、仕事に取り組む時間はしっかりと取り組み、休むときはしっかりと身体を休める、つまり1日の活動のオンとオフをきちんと切り替える生活上のメリハリが、免疫力アップに効果的ということです。

【ストレスをためない】
ストレスのない人生なんてまずありませんが、たまりすぎたストレスも免疫力を下げてしまう要素の一つです。
そこで、何かしらの趣味に没頭する、森林浴でマイナスイオンを浴びるなど、ストレスを適度に発散させるようにしてください。
ストレスから解放されて、精神的にリラックスできることも、免疫力アップにとても効果的です。

【笑う】
こんなことを言うと笑われるかもしれませんが、笑うことも免疫力アップの秘訣です。
よく笑うと、免疫細胞が活性化されるという研究結果があります。
しかも、笑いには、前述したストレスを緩和する効果もあり、一石二鳥です。
よく笑って、免疫力を上げましょう。

<免疫力を高めて健康生活を送ろう>
最後に【腸内環境が免疫力アップの秘訣】
ヒトの体に備わっている細菌やウイルス、寄生虫などの病原体などの身体への侵入に対する防御機構が、免疫です。
近年の研究で、ヒトが備えている免疫力のほとんどが腸にあることが明らかになってきました。
具体的には、小腸のパイエル板というところで、病原体の情報を認識し、それを免疫細胞たちに伝えているのです。
そのため、ヒトの免疫力は、腸内環境に大きく影響されています。
腸内環境を良好な状態に整えられれば、免疫力アップに繋がり、病気になりにくい健康な身体になります。
そこでぜひ行っていただきたいのが、腸活です。
腸活は、腸内環境を良好に保つ善玉菌を増やす食べ物、飲み物を積極的に摂る食習慣、運動習慣、日常の生活習慣の見直しがポイントとなります。
それだけでなく、体温を高くする、生活にメリハリを加える、笑うなども腸内環境を良好にする秘訣です。
今回ご紹介した、腸内環境改善法を通して、免疫力を高め、健康で強い身体を作りましょう。

 

この記事がお役にたてば、星ボタンをクリックして評価いただけると嬉しいです♪
星1つ星2つ星3つ星4つ星5つ (まだ評価されていません)
読み込み中...
薬剤師「伊東」
記事の監修 伊東 和子(いとう かずこ)

テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」

35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。

よく読まれている記事

  1. 【便秘の時こそ下剤成分ゼロの体にやさしいお茶を】便秘に良いお茶の選び方
    【便秘の時こそ下剤成分ゼロの体にやさしいお茶を】便秘に良いお茶の選び方
  2. 鼻水・鼻づまりを解消する方法!【鼻水・鼻づまりに効くツボもご紹介】
    鼻水・鼻づまりを解消する方法!【鼻水・鼻づまりに効くツボもご紹介】
  3. なぜ、季節の変わり目に疲労が溜まるの?季節の変わり目は寒暖差に負けない体調管理が大切!
    なぜ、季節の変わり目に疲労が溜まるの?季節の変わり目は寒暖差に負けない体調管理が大切!
  4. ゲップが多い人の原因と考えられる病気|ゲップが多い場合の対処法
    ゲップが多い人の原因と考えられる病気|ゲップが多い場合の対処法
  5. インフルエンザは潜伏期間でも他人にうつる!感染を防ぐ方法とインフルエンザの潜伏期間の過ごし方
    インフルエンザは潜伏期間でも他人にうつる!感染を防ぐ方法とインフルエンザの潜伏期間の過ごし方