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免疫について

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免疫について
薬剤師「伊東」
記事の監修 伊東 和子(いとう かずこ)

テイコク製薬社調剤店舗「薬剤師」

35年の薬剤師キャリアを活かし、「健康を知り尽くした調剤マスター」としてテイコク製薬社の調剤業務に従事。

皆さんは「免疫力」という言葉をご存知でしょうか?
新型コロナウイルスも流行しており、感染予防のためにマスクの着用やうがい・手洗いが推奨されています。
ですが、それだけでは完全に感染を防ぐことはできません。

感染を防ぐためには「免疫力」が重要だと言われています。
この免疫力が高い人は、そもそも感染症にかかりにくいというデータもでており、昨今、特に重要視されています。

この記事では、そんな免疫力を高める方法をご紹介していきます。

免疫力とは?

免疫とは体外から侵入した細菌やウイルス、体内で発生したガン細胞などの異物を体内の免疫細胞が監視し、撃退する自己防衛システムのことです。

このシステムではさまざまな免疫細胞が協力し合っており、この力のことを「免疫力」と呼びます。

免疫細胞で最も有名なものは「白血球」です。

白血球は大きく分けて単球・好中球・好酸球・好塩基球・リンパ球の5つに分類され、好中球・好酸球・好塩基球をの総称を顆粒球と呼びます。

この免疫細胞たちはそれぞれ役割分担がされており、体内に侵入した異物を監視し、最初に攻撃を仕掛ける免疫細胞が、単球と顆粒球、そしてNK細胞です。
これは自然免疫といい、この3種類の細胞たちは常に体内を循環し、異物の侵入に備えています。

自然免疫で異物の正体を明らかにした後、体内の免疫細胞はその異物に対し有効な免疫をつくり出します。
それが獲得免疫と呼ばれるもので、T細胞・B細胞が中心となります。

免疫細胞を一つずつ解説していきます。

単球

単球は、樹状細胞とマクロファージの2つに分類されます。

樹状細胞は異物の情報を分析し、リンパ球(NK細胞・T細胞・B細胞など)に伝達することによって免疫細胞たちをまとめる司令塔のような役割を持っています。

マクロファージは異物や不要になった細胞を自分の中に取り込み、除去する「貪食」という性質を持っており、顆粒球を呼び、他の免疫細胞たちに攻撃を促す効果があります。

顆粒球

「好中球」、「好酸球」、「好塩基球」の3つに分類されます。
それぞれ主に巡回している場所が異なり、また得意とする分野も異なります。

好中球は顆粒球の中で最も多く、主に血液中に存在しています。
酵素の働きによって貪食した細胞を消化・殺菌します。

好酸球は主に呼吸器や腸管に存在しています。
寄生虫などを貪食し処理します。
アレルギーに関与しています。

好塩基球は主に血液中に存在しています。
好塩基球単体で異物を攻撃することはなく、好中球と好酸球の移動を助ける物質を作ります。

NK細胞

NK細胞は、ナチュラルキラー細胞と呼ばれ、常に体内を巡回しています。
ウイルスやガン細胞を発見次第、単体で攻撃し処理する高い免疫能力を持ちます。

T細胞

「ヘルパーT細胞」、「キラーT細胞」、「制御性T細胞」の3種類に分類されます。

ヘルパーT細胞は主に毛細血管や脾臓、リンパ節に存在しています。
ウイルスに感染した細胞をいち早く見つけ出す働きを持っています。

キラーT細胞はヘルパーT細胞から指令を受け、ウイルスに感染した細胞を処理する働きをもっています。

制御性T細胞は免疫細胞たちの活動やB細胞の作り出す抗体の生産をコントロールする働きをもっています。

B細胞

B細胞は、メモリーB細胞・形質細胞の2種類に分類されます。

メモリーB細胞は一度出会った抗原のデータを数十年に渡って記憶し続ける能力を持ちます。再度同じウイルスが体内にかかってきても悪化せずに治癒するのは、この細胞が以前の記憶を保持し、適切な抗原を提示してくれるからです。

形質細胞はヘルパーT細胞の働きにより、分化して抗体をつくり出します。

免疫力が下がるとどうなる?

免疫力が低下するということは、体の中に存在する免疫細胞たちの数が減ったり、正常に働く免疫細胞が作られにくくなってしまったりするということを指しています。

その為、風邪をひきやすくなったり、感染症にかかりやすくなったりします。
それだけでなく、花粉症やアレルギーの症状が出始め、さらに免疫力が低下すると白血病やガンなどの重い病気にかかる可能性があります。

免疫力が低下すると体の基礎代謝の低下や肌のターンオーバーの悪化にも繋がり、美容の面でも悪影響が出てきます。

免疫力低下の原因としては加齢や、睡眠不足、喫煙、運動不足、ストレスなどが大きく関係しています。

加齢

免疫細胞たちは骨髄の中にある造血幹細胞から作られています。
しかし年齢を重ねると、造血幹細胞から免疫細胞が作られにくくなり、正常に働く免疫細胞の数が減少します。
免疫細胞の数が減ってしまうことに加え、若い頃より免疫細胞の質も落ちてしまうため免疫力が低下します。

睡眠不足

睡眠時間が低下することで免疫細胞の数が減少します。
また免疫細胞の一つであるB細胞が、抗原の情報を長期にわたって記憶するためには、睡眠が必要であると報告されており、睡眠不足の状態だと免疫力を保つことができません。

喫煙

喫煙が習慣化すると、体内に有害な化学物質が溜まりやすくなります。
化学物質は免疫細胞自体の機能を低下させ、免疫力の低下を招きます。

運動不足

運動不足により体内の代謝が落ち、細胞の活動性が低下します。
その為、免疫細胞たちの活動も低下し、免疫力が低下します。

ストレス

強いストレスを受けると、自律神経のバランスが乱れ、免疫細胞に影響をもたらします。
心理的なストレスは腸内の細菌叢に変化をもたらし、悪玉菌を増殖させ、免疫機能を低下させます。

免疫力を高める方法は?

①腸内環境を整える

免疫力と腸内環境は密接に関わっています。

免疫細胞の約70%は腸内に存在しているといわれています。
また腸内に生息しているビフィズス菌に代表される善玉菌には「体の免疫力を高める」性質があるということが最近の研究で判明しました。
さまざまなウイルスや病原体が体内に侵入し、腸まで到達したとしても善玉菌の免疫力を高める働きによって、免疫細胞たちが活性化し、体外に排泄しやすくしてくれるのです。

しかし大腸菌などの悪玉菌が優位な腸だと、善玉菌の効果が十分に発揮されず、免疫力も低下します。
免疫力を高めるためにも、善玉菌が優位になるような腸内環境にしましょう。

善玉菌が優位になるためには食生活から見直すと効果的です。

特に乳酸菌やビフィズス菌などを豊富に含む発酵食品やヨーグルトを摂取することで、体内に善玉菌を取り入れる事ができます。
それ以外にも「まごはやさしい」という言葉も有名な、大豆やあずきなどの豆類、ゴマやクルミなどのナッツ類、わかめや昆布などの海藻類、野菜や根菜類、魚類、シイタケやシメジなどのキノコ類、じゃがいもなどのイモ類は善玉菌の餌になるオリゴ糖を含んでおり、善玉菌を増やすためにも必要不可欠です。

腸内環境を整えるために、食生活以外のアプローチ法として「適度な運動」、「十分な睡眠」、「朝食を食べる」というものがあります。
これらは全て、腸内に便を溜めずに排出するためのアプローチ法です。

腸内に便を溜めると、悪玉菌が増殖し腐敗物質が増え、腸の老化が促進します。
挙句、大腸ガンなどの命に係わる病気まで招いてしまう要因になります。

前述した食材、食品は腸内環境を整えるだけでなく、食物繊維やオリゴ糖も豊富なため、便をスムーズに排出できます。

腸内環境を整えられるよう、食生活から見直すようにしましょう。

②睡眠をしっかりとる

カリフォルニア大学が2015年に発表した研究により、睡眠が不足すると、ウイルスや異物を貪食する免疫細胞たちの働きが低下し、ウイルスの感染率が約3倍にもなることが明らかになりました。
ウイルスを貪食する能力が低下したことにより体内の免疫機構が崩れたためです。

また免疫細胞たちは活動に伴ってタンパク質を産生します。
このタンパク質は「抗体」や「補体」と呼ばれ、免疫細胞がウイルスや異物を排除することを補助します。
しかしながら免疫細胞の働きが低下することによって、抗体や補体の産生も少なくなり、免疫の補助機能も低下してきます。

睡眠不足は体内の免疫細胞の働きを低下させるだけでなく、予防接種に対する免疫を構築する効果も半減させることが分かっています。

睡眠をしっかりとって体を休めるのはもちろんのことですが、日中ではなく、夜にまとまって寝ることが大切です。
これは夜の22時から深夜2時頃を中心にホルモンが産生・分泌され、体内の傷ついた細胞の修復や、疲労回復に大きな役割を果たしているからです。

このホルモンが不十分だと、体内の免疫細胞たちが十分に回復できず、免疫能力に支障をきたします。
その結果、ウイルスや異物が体内に侵入しやすくなったり、風邪や感染症が治りにくくなってしまったりします。

十分な睡眠の量だけでなく、寝る時間帯や質が免疫力を高めるために必要です。

③適度な運動をする

適度な運動をすることで、体の筋肉を動かし、体温を上げる事ができます。
体温が上昇すると、基礎代謝も上がり、この基礎代謝が上がることによってNK細胞の活動が活発になることが知られています。

また体温が上昇することによって、冷え性などの症状が改善され、血行が良くなります。
血行が良くなると、血液中に存在している免疫細胞たちの流れも良くなり、ウイルスや異物が侵入した際にすぐかけつける事ができます。

免疫力を高めるための適度な運動として、普段の生活から取り入れるように心がけましょう。
これまでエレベーターやエスカレーターを使っていた人は階段を使用したり、一駅分歩いたりするだけでも、運動不足を解消させる事ができます。

有酸素運動だけでなく、無酸素運動である筋肉トレーニングなども非常に効果的です。

しかしながら、普段運動をしない方だと筋肉痛になりやすく、疲労も蓄積されやすくなります。
その為、運動後は必ずストレッチをして、筋肉に溜まった疲労を排出するようにしてください。
帰宅後、ゆっくりと湯船につかることも効果的です。

ただし、アスリートが行うような激しい運動は禁物です。
強度の高いトレーニングをすると、免疫細胞の要であるNK細胞の数値が大きく低下してしまうことが、最近の研究で明らかになりました。

時間の経過とともに数値は回復しますが、連日トレーニングを続けると、それぞれの細胞の機能が低下し、体の抵抗力が落ちていきます。

体の免疫力を高める程度であれば、日々の生活で取り入れることのできる運動で問題ないでしょう。

まとめ【免疫力は生活習慣を見直すだけで高める事ができる】

今回は免疫力や、免疫力を高めるための方法を紹介しました。
免疫力は日々の生活習慣を見直すだけで高める事ができます。
今回ご紹介した内容を参考に、ウイルスや感染症に負けない体を作りましょう。

  • 免疫力とは細菌やウイルス、体内のガン細胞などの異物を監視し、撃退する免疫細胞たちの力のこと。
  • 免疫力が低下すると、風邪や感染症にかかりやすくなってしまうだけでなく、花粉症やアレルギー症状が出てしまい、最悪の場合ガンなどの命に関わる病気になってしまうこともある。
  • 免疫力が低下する原因に加齢、睡眠不足、喫煙、運動不足、ストレスなどがある。
  • 免疫力を高める方法は腸内環境を整え、睡眠不足や運動不足を解消することである。

薬剤師「伊東」
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