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もしかしたらうつ病かも?体からのサインを見逃さないで!うつ病の原因と症状・治療法

もしかしたらうつ病かも?体からのサインを見逃さないで!うつ病の原因と症状・治療法

皆さんは、「やる気が起きない」「気分が晴れない」「消えてしまいたい」というような気持ちが長く続いてはいませんか?

そのような症状が2週間以上続いているならば、要注意です。

うつ病は特別な病気ではなく、誰しもがなる可能性のある病気です。

今回は、うつ病について原因や症状、治療方法などについて話していきます。

うつ病とは?正しくうつ病について知ろう

うつ病という言葉は皆さんご存じのことかと思います。

うつ病はこころの病気と思いがちですが、実は脳の病気と言われています。

脳は、脳内の神経伝達物質とよばれる物質によって脳細胞から脳細胞へと情報を伝えるシステムになっています。

しかし、この神経伝達物質の減少によって、脳細胞へ伝える情報量が減ってしまいます。

情報量が減り、情報がしっかりと伝えられなくなってしまうことで心と体の正常な働きに影響を及ぼし、さまざまな症状が表れると考えられています。

これがうつ病です。

神経伝達物質が減ってしまう要因は、ストレスや環境的なものなど様々あります。

厚生労働省によると、日本でのうつ病の12カ月有病率は1~2%、生涯有病率は3~7%であるようです。

また、厚生労働省が実施している患者調査では、日本における気分障害患者数はここ近年増加しています。

その増加スピードはとても速く、1996年では43.3万人でしたが2008年には104万人とわずか10年で2 倍以上になりました。

ただし、この数字だけを見て「うつ病の人が増えている。ストレス社会のせいだ。」と決めつけてはいけません。

もちろんうつ病という病気が以前よりも知られることによって、以前に比べて病院を受診する敷居が低くはなってきています。

しかし、うつ病は他の病気に比べて未知の部分が多い病気でもあります。

そのため、検査で確実に断定できる疾患ではないので、診断基準が変わることがあります。

基準の変更によって患者数は大きく変わってきます。

【うつ病の原因】思い当たる原因はありますか?

次にうつ病の原因についてお話ししていきます。

皆さんがうつ病の原因と聞いて思いつきやすいのは、仕事のストレス・人間関係によるストレスあたりではないでしょうか。

もちろんそれも原因になりえますが、他にも様々な原因があります。

環境的要因

まずは病気や事故、別離、近親者や近しい人の死、リストラ、退職、家庭内のトラブル、人間関係のトラブル、受験失敗、事業の失敗、投資の失敗といった精神的打撃です。

そして、引っ越しや昇進などの職場異動といった急激な環境の変化も要因の一つです。

女性の場合、妊娠・出産・月経がうつ病の引き金になることがあります。

最近「産後うつ」という言葉を耳にする機会も多いのではないでしょうか。

出産した女性100人中約15人に起こると言われています。

薬剤性

「薬でうつ病になるの?」と驚かれる人もいるかと思いますが、一部の薬ではそのような報告があがっています。

その一部の薬とは、インターフェロン製剤、副腎皮質ステロイド薬です。

副腎皮質ステロイド薬の場合、量が多いほどうつ病の発現率は高くなるようです。

また、レセルピン、β遮断薬、カルシウム拮抗薬などの降圧薬や、アレルギーを抑える抗ヒスタミン薬、経口避妊薬でも報告されています。

しかし、いずれもその発生はとてもまれなもので、その頻度も低く数%以下です。

大切なことは、副作用としてそういう可能性があるということを理解し、そういった症状がでるようであれば早めに対処をするということです。

「眠れなくなった」「イライラするようになった」「気分が落ち込むようになった」といったうつ病と思われる症状が出てきた場合には、勝手に服用を中止せずに、医師に相談しましょう。

遺伝的要因

うつ病の発症には、遺伝的な要素もあると考えられています。

両親のうちどちらかがうつ病の場合、その子供の約30%が発症するというデータもあるようです。

しかし、あくまでも原因の1つにすぎません。

病前性格

病前性格とは、ある疾患と統計学的に優位な関係にある性格傾向のことです。

簡単に言えば、うつ病になりやすい性格とも言えます。

うつ病になりやすい性格としては、ルールに忠実で、真面目、几帳面(きちょうめん)、完璧主義、勤勉家、責任感が強いといった特徴があります。

このようにうつ病の要因は一つだけではありません。

【うつ病の症状】こころとからだの症状の違い

うつ病では、不安やイライラ、気分の落ち込みといった精神症状が出ます。

しかし、精神症状だけではなく身体症状が現れることがあります。

身体症状が出ることで不安が強くなる人もいます。

精神症状だけではなく、身体症状も知っておきましょう。

精神・身体それぞれの症状は以下の通りです。

こころの症状

感情:気分が落ち込む、不安・焦り・イライラ感、喜怒哀楽の喜びと楽しむ部分の欠落、悲観的になる、落ち着かない
意欲:関心・意欲が減退する、無関心になる、ぼんやりすることが増える、外見や服装を気にしなくなる、外に出られない
思考:集中できない、記憶力の低下、口数が減って声が小さくなる、ため息が増える

からだの症状

睡眠:寝つきが悪い、眠りが浅い、眠れない、昼夜逆転する、起きられない、一日中寝てしまう
食欲:食欲不振、体重減少、味覚障害(食べても美味しく感じない)、過食、甘いものを異常に欲する
ホルモン:生理不順、性欲減退、勃起不全
その他:腰痛や肩こりといったように体のあらゆるところの痛み、頭痛・頭が重い、倦怠感(異常に疲れやすい)、腹痛・胃の不快感・下痢・便秘といった消化器症状、耳鳴り、動機

うつ病というと心の病気ゆえに心の症状だけと思いがちですが、あらゆる身体症状がでる可能性があることを知っていただけたのではないでしょうか。

【うつ病の検査・診断】病院受診の流れ

うつ病かもしれないと思ったら、できるだけ早く病院を受診することが大切です。

しかし、どこにかかればよいかどのようにして診断をうけるのかなど不安が付きまとうことでしょう。

「精神科」または「心療内科」「メンタルクリニック」への受診が一般的です。

精神科と心療内科はどちらも心の症状を診てくれますが、それぞれの違いを知っていますか?

精神科とは、主に心の症状を扱う診療科です。

精神症状や睡眠障害で悩んでいる人が対象です。

心療内科とは、環境要因などから引き起こされている身体症状を扱う診療科です。

主に体の病気と心の病気の関係を専門としています。

理由もなく心と体の不調が続いている場合も心療内科で相談することがよいでしょう。

初めて受診する際には、問診票などの記入が必要になります。

そして、診察では「いつごとからその症状が出ているか」「思い当たる原因はないか」「困っていることは何か」と必ず質問されます。

他にも家族歴や既往歴、服用中の薬の有無を聞かれます。

いきなり様々な質問を受けると混乱してしまうので、あらかじめメモしていくのがよいでしょう。

必要に応じて検査を受ける場合があります。

検査は、うつ病かどうかを診断する、うつ病の原因について調べる、うつ病が他の病気からくるものかといった目的のために行われます。

検査は、尿検査(腎機能)、血液検査(肝腎機能、血糖値、甲状腺機能、栄養状態、電解質のバランス)、心電図(不整脈)、頭部CT・MRI(アルツハイマー病との識別、脳出血や脳梗塞後の後遺症としてうつ症状がでる場合があるため)、脳血流シンチグラフィーといったものがあります。

また、性格検査や心理検査が行われることもあります。

医師は、診察、検査を踏まえてうつ病かどうかを診断します。

うつ病の診断基準には、「DSM-5(精神疾患の診断および統計マニュアル)」「ICD-10(国際疾病分類)」が用いられます。

ここでは、うつ病の診断基準(大うつ病診断基準DSM-Ⅳ)について見ていきます。

以下の症状のうち、少なくとも1つある。

  • 抑うつ気分
  • 興味または喜びの損失

さらに、以下の症状を併せて、合計で5つ以上がある。

  • 食欲の減退あるいは増加、体重の増減
  • 不眠あるいは過眠
  • 精神運動性の焦燥または制止
  • 易疲労感または気力の減退
  • 無価値観または罪責感
  • 思考力や集中力の減退
  • 死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図

これらの症状が2週間にわたって続いていて、他の病気や薬の影響ではないとされるときに、うつ病と診断されます。

どのような治療方法がある?うつ病の治療法について

うつ病と診断されたら、どのような治療方法があるのかをここではお話ししていきます。

休養

「え?休養?」と思われる人もいるでしょうが、休養も立派な治療の一つです。

しっかりと休養して次に動き出すためのエネルギーをためましょう。

軽いうつ病の場合、休養だけで症状がよくなることがあります。

症状が重い場合、自殺の危険がある場合は、入院による治療が勧められます。

ストレスをもたらしている要因から離れることが可能な場合は一度離れ、お休みしましょう。

薬物療法

うつ病の薬物治療には、主に抗うつ薬を使用します。

抗うつ薬にはさまざまな種類があります。

抗うつ薬には、開発された順番によって第1世代(三環系)、第2世代(四環系)、第3世代(SSRI)、第4世代(SNRI)、第5世代(NaSSA)の5世代に分けられています。

それぞれ特徴が異なるため、症状や副作用の出方などにより、医師が薬を変えたり量を変えたりしていきます。

抗うつ薬は薬を飲み始めてから効果が出るまでに時間がかかります。

そのため、人によっては薬を飲んでいるのに効果がないと感じる人もいるようですが、まだ効果が出ていないだけという可能性があります。

自己判断で中止しないようにしましょう。

また、抗うつ薬以外にも不眠の症状がある場合は睡眠薬、不安症状が強い場合は抗不安薬、イライラしたり気分が高揚する場合は気分安定薬を使用することがあります。

精神療法

精神療法としては、主に認知行動療法、対人関係療法があります。

うつ病の人は、「~であるべき」といったような特有の完璧主義のような考え方があり、それゆえに何か困ったことや悩みにぶつかったときに悲観的にとらえがちです。

認知行動療法とは、その名の通り考え方のくせを直し、行動面に反映させて、同じ出来事が起こってもうつ状態を悪化させないようにする方法です。

対人関係療法とは、うつ病を引き起こす要因となった対人関係に焦点をあてて、その問題を解消することでストレスを減らす方法です。

修正型電気けいれん療法(mECT)

古くから行われてきた治療法の一つで、適切な薬物治療でも改善しない中程度から重症のうつ病の人に対して行われることがあります。

これは、頭部に数秒間電流を通し、電気刺激により脳内に影響を与え、効果を得る方法です。

全身麻酔を使用し、数回にわたって行われるため入院する必要があります。

【うつ病の予防】日常生活で明日からできる予防法

うつ病の予防・再発防止のために明日からできることについてお話ししていきます。

まずは、規則正しい睡眠習慣を心がけましょう。

十分に眠れないと体も心もしっかりと休めず、ストレスや疲れがどんどん蓄積されていきます。

「睡眠負債」という言葉を聞いたことがある人もいるかと思います。

睡眠不足が借金のように徐々に積み重なっていき、心身の不調を引き起こすことを表す言葉です。

睡眠負債を週末の寝だめで解消しても効果がないどころか逆に睡眠リズムを崩す原因になるという報告があります。

就寝時間と起床時間はできるだけ一定にしましょう。

栄養バランスのよい食事をとることも大切です。

偏った食事や栄養素不足が精神症状を引き起こすことが研究でもわかっています。

朝食を抜かず、1日3食きちんと食べましょう。

そして、適度な運動をしましょう。

適度な運動はストレス発散になります。

しかし、過度な運動は体が疲れて悲鳴を上げてしまうだけではなく、ストレスの原因となり継続することが難しくなるため、控えましょう。

最後に、自分の性格を客観視しましょう。

自分が日常的にどのような考え方をしているのかどのような性格なのかを理解し、うつ病になりやすい性格なのかそうではないのかを知っておくことも大切です。

もしうつ病になりやすい性格だとわかったとしても落ち込むことはありません。

必ずうつ病になるというわけではありません。

自分の性格を理解することで、無理しすぎることがないようにコントロールできます。

このように日常生活のちょっとした工夫や改善で生活の質があがり、うつ病の予防・再発防止につながります。

まとめ【うつ病は決して恥ずかしくはありません】

今回は、うつ病の原因や症状、治療方法などについてお話ししました。

うつ病が決して特別な病気ではなく、さまざまな治療法もあることを知っていただけたかと思います。

うつ病は恥ずかしい病気ではありません。

誰しもがなる可能性があります。

  • うつ病は脳の病気
  • うつ病の原因は、環境的要因・薬剤性・遺伝的要因・病前性格がある
  • うつ病は精神症状だけでなく身体症状が現れることもある
  • でている症状によって受診する科が異なる
  • うつ病の治療は、休養・薬物療法が三大療法
  • 十分な睡眠、運動、バランスの良い食事が予防・再発防止につながる

心の病気はなかなか自分では気づきません。

少しでもあれ?と思うことが多くなり、うつ病かもしれないと思ったら、早めに医療機関を受診してください。

 

参考文献

重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤惹起性うつ病(https://www.pmda.go.jp/files/000144134.pdf)

産後うつ Royal college of psychiatrists

(https://www.rcpsych.ac.uk/mental-health/translations/japanese/postnatal-depression)

うつ病の診断基準 神戸市医師会(http://www.kobe-med.or.jp/kobe_G-P_net/shindan.html)

みんなのメンタルヘルス 厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_depressive.html)

メランコリー親和型とは 安全衛生マネジメント協会

(https://www.aemk.or.jp/word/ma10.html#:~:text=%E7%97%85%E5%89%8D%E6%80%A7%E6%A0%BC%E3%81%A8%E3%81%AF,%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%81%AE%E7%89%B9%E5%BE%B4%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82)

 

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